近代科学の幕開け
16、17世紀の『天動説』から『地動説』への転換は、科学史上における大変大きな理論変化の1つであった。地動説への移行には、理論及び発想の180度の回転があった。ニュートンが活躍する時代には、すでに天動説の理論は崩壊しつつあった。しかし、まだ天と地は別の世界であり、別の法則が働いているという考えが存在していた。そのようないろいろな考えがある中で、地上の運動と天の運動を統合し、同じ法則が成り立つことを数学的に証明したのがニュートンであった。もしも、ニュートン個人が「全くの独力」で天と地の運動を結び付け、『運動の三法則』を提唱したという印象を与えるとすれば、それは歴史の事態を単純化したものと言わざるを得ない。したがって、宇宙観・天文学・地上の運動学の歴史において、ニュートン以前にはどのような考えがあり、その歴史の中でニュートンはいかなる位置を占めているのかなどについて考えてみる必要性がある。
ニュートンのプリンキピア成立までの過程を追っていく前に、ここではまず、ニュートンが研究を始めた頃には、どのような考えがあったのかを見ていくことにする。